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スタンディング: メモリーシーティングにおける軌跡の役割を知る

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電動車いすの「メモリーシーティング」機能とは何だろうか?

車いす利用者が立つことによる利点は、数多くの研究で実証されています。解剖学的、生理学的、社会的な利点があり、これらすべてが日常生活活動への参加を向上させます。1

しかしながら、車いすの(座位状態から)スタンディングするシステムのタイプにはさまざまな種類があります。一般的に手動車いすについているような、シンプルな機構的なオプションのものもあれば、電動車いすに搭載されている電動式のものもあります。 これらのシステムの技術的な洗練度はさまざまです。基本的な電動シーティングシステム(リクライニング、ティルト、座位~スタンディングを備えたものであっても)は、可動域、痛み、健康上の必要性から、多くの人には適さないかもしれません。このようなユーザーは、安全で快適な使用のために、より特殊な一連のシート動作、すなわち「運動学」を必要とします。シーティングポジションを移動する際、中間ポジションがあるため、シートとの生体力学的なアライメントが良くない場合、電動シーティングの効果は有益ではなく、むしろ有害になる可能性があります。

このようなニーズに応えるため、先進の電動シーティングは最高レベルの一貫性と設定を可能にしています。サンライズメディカルの製品では、Q700シリーズの電動車いすに搭載されている セデオ プロ アドバンスド シーティング システム でご利用可能です。このシステムは、プログラム可能なメモリーポジションと幅広い調整範囲を備えており、毎回同じポジションに戻ることができます。これが「メモリーシーティング」機能です。また、保存されているメモリーシーティングポジション(例えば「リラックス」や「ライダウン(横になる)」設定)を中間ポジションとして定義することも可能です。これにより、システムはポジション間の動きを毎回同じ順序で行うことができます。こうすることで、車いす使用者の特定の要求に応じて、空間内で前進、直立、後進するための運動学的構成が最大限に可能になります。これを、メモリーシーティングの「軌跡」(順序)と呼びます。

メモリーシーティングの軌跡はどのように機能するのか?

電動スタンディングの Q700-UP M と Q700-UP F(中輪駆動と前輪駆動)のメモリーポジションは以下の通りです:  

  • スタンディング
  • リラックス
  • ライダウン ポジション
  • 前傾ティルト姿勢 または 移乗ポジション
  • 座位
  • メモリー 5、自由にプログラム可能なポジション

セデオ プロ アドバンスド シーティング システム を装備した Q700 FQ700 M でも同様ですが、スタンディング機能はついていません。

一度ユーザーの体の形に合わせて機械的な調整が行われ、メモリーシーティングのポジションが確立されると、シートポジションを大きく変える間に動作させるメモリーシーティングの軌跡を設定することができます。原則はシンプルです:電動車いすの電子パラメーターを設定するだけで、最終ポジションに到達する前に、メモリーポジションのいずれかを通過します。これにより、明確な軌跡が生まれます。例えば、車いすは座位から始まり、立位に到達する前に横臥位(ライダウン)を通過します。 

メモリーシーティングの軌跡設定は、車いす利用者にとってどのような利点があるのか?

パーソナライズされた中間ポジションへの移行には、2つの目的があります。ひとつは、走行に戻る際の安定性を確保するために、車いすでの体のポジションを維持することです。例えば、前傾姿勢から移乗するとき、ティルトとリクライニングを組み合わせた「リラックス」オプションのような中間ポジションは、骨盤をシートの奥に保つのに役立ちます。これはまた、快適性を高め、皮膚への摩擦を減らすことができます。

実際、従来の座位から立位へのシート動作では、膝サポートの適切な機械的調整にもかかわらず、立位に移行する際に前方へスライドすることが多いです。2 これは骨盤の変位や傾きにつながり、せん断、関節や筋肉へのストレス、膝やすねへの過度の負担を伴います。同じことは、以前の座位ポジションに戻るときにも起こりえます。

まずライダウンポジションに移行することで、車いすは利用者の身体を伸ばし、次にリハビリで使用されるスタンディングテーブルと同じようにシートを前傾させます。そのため、ゆっくりと段階的に立ち上がることができます。 

リラックスポジションでは、車いすは座面を後傾させ、レッグレストを補正しながら背もたれをリクライニングさせます。こうすることで、利用者はシートに深く座ることができます。シートが前方に傾くと、車いすは徐々に展開し、利用者は一回の流動的な動きで立ち上がることができます。メモリーシーティングポジションに軌跡機能を使用することで、快適さを提供しますが、より重要なことは、上がる過程の間 姿勢を維持し、褥瘡(床ずれ)のリスクを軽減することです3

メモリーシーティングの軌跡を、上げるときと下げるときで使い分けることも可能です。一度軌跡が確立されれば、車いすが元のどのポジションにあろうと、常にこの中間位置を通過しますので注意してください。下がるときは、シート移動の動作は特定の電子パラメーターによって異なる可能性があります。  これらはプログラミング ソフトウェアを使って変更できます。

実際、従来の座位から立位へのシート動作では、膝サポートの適切な機械的調整にもかかわらず、立位に移行する際に前方へスライドすることが多いです。2 これは骨盤の変位や傾きにつながり、せん断、関節や筋肉へのストレス、膝やすねへの過度の負担を伴います。同じことは、以前の座位ポジションに戻るときにも起こりえます。

まずライダウンポジションに移行することで、車いすは利用者の身体を伸ばし、次にリハビリで使用されるスタンディングテーブルと同じようにシートを前傾させます。そのため、ゆっくりと段階的に立ち上がることができます。

リラックスポジションでは、車いすは座面を後傾させ、レッグレストを補正しながら背もたれをリクライニングさせます。こうすることで、利用者はシートに深く座ることができます。シートが前方に傾くと、車いすは徐々に展開し、利用者は一回の流動的な動きで立ち上がることができます。メモリーシーティングポジションに軌跡機能を使用することで、快適さを提供しますが、より重要なことは、上がる過程の間 姿勢を維持し、褥瘡(床ずれ)のリスクを軽減することです3

メモリーシーティングの軌跡を、上げるときと下げるときで使い分けることも可能です。一度軌跡が確立されれば、車いすが元のどのポジションにあろうと、常にこの中間位置を通過しますので注意してください。下がるときは、シート移動の動作は特定の電子パラメーターによって異なる可能性があります。 これらはプログラミング ソフトウェアを使って変更できます。

立位または前傾姿勢に移行する際の力の方向
立位または前傾姿勢に移行する際の力の方向

メモリーシーティングのポジション自体はカスタマイズできますか?

はい!フル プログラミング可能なのが、メモリーポジションの重要な特徴です。好みのポジションはボタンひとつで保存できます。 こうすることで、工場出荷時の設定が上書きされ、車いすは常にユーザーに最適なポジション(スタンディル、座位、リラックスなど)をとるようになります。 メモリーシーティングのポジションは、特定のポジションが不要な場合、名前を変更したり削除したりすることもできます。

メモリーシーティング機能のプログラミング方法についてもっと知りたいですか? この記事 で詳しくご説明しています。 

Clinical Support Information Citations

1. Arva, J., Paleg, G., Lange, M., Lieberman, J., Schmeler, M., Dicianno, B., ... & Rosen, L. (2009). RESNA position on the application of wheelchair standing devices. Assistive Technology, 21(3), 161-168.

2. Kobara, K., Fujita, D., Osaka, H., Ito, T., & Watanabe, S. (2013). Influence of distance between the rotation axis of back support and the hip joint on shear force applied to buttocks in a reclining wheelchair’s back support. Prosthetics and orthotics international, 37(6), 459-464.

3. Dicianno, B. E., Arva, J., Lieberman, J. M., Schmeler, M. R., Souza, A., Phillips, K., ... & Betz, K. L. (2009). RESNA position on the application of tilt, recline, and elevating legrests for wheelchairs. Assistive Technology, 21(1), 13-22

Alexandre Marechal - Sunrise Medical France

Alexandre Marechal - Sunrise Medical France

OT - Key Account Manager

As an occupational therapist specializing in the treatment of spinal cord injuries, Alexandre joined the Sunrise Medical France team as a product specialist before taking up his current position as Key Account Manager. His aim is to use the experience he has gained in his various roles and his vision as a therapist to offer quality advice and support to distributors, prescribers, and clients.

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